詳しく知りたい、落語について
演芸のなかでも最もメジャーな話芸であり、名前を知らない人はまずいないでしょう。
現在、全国で900人の落語家がいると言われており、都内には定席以外にも、キャパ数十人ほどの小さい寄席が続々誕生しています。
ファンや地域住民が立ち上げたり、落語家自身が勉強の場として立ちあげたりと、非常に活発で、首都圏では月に1000件を超える会が開かれているともいわれています。
図書館にいけば音源の品揃えはどこも揃っていて、Podcastなどのサブスクでも聞くことができます。
若い人たちを巻き込んでブームを起こした落語。
宮藤官九郎脚本、ジャニーズの岡田准一、長瀬智也が主演したドラマ『タイガー&ドラゴン』、朝の連続テレビ小説『ちりとてちん』といった落語を題材にしたドラマで、一躍人気になった落語。そこから10年経ち、紆余曲折ありながらも、現在までその活気は消えませんでした。
最近では、定席以外の寄席「渋谷らくご」、二ツ目の活躍、そしてテレビアニメ『昭和元禄落語心中』といった、新たな現象を起こし、落語は今日まで愛されています。
そんな、ごく身近な存在である落語を、もはや存在を知らないという人はまずいないでしょう。
しかし、実際に見たことがあるとなると、やはり、まだまだ敷居は高いと思われているところがあるようです。
実際に足を運んで見ていただくには、まだ伸び代があるのは事実。
知っているようで、知らない落語の世界。
そして、落語を現在も磨き続けている落語家さんたちの姿。
落語を聞くだけでなく、しゃべっている落語家の空気に触れてもらいたい・・・!
そもそも落語ってどんな芸?
さらっと粋な落語のスタイル
さらりと着物をきた落語家が座布団の上に座り、登場人物の会話で物語をすすめる話芸です。
扇子と手拭いを使いながら、上下に振って声色を変えたり、自分のしゃべりと身振りで噺を描き出します。
江戸や大阪といった都心で生まれ、愛されてきました。
笑えながらも、日本の四季の風景や親子夫婦の情、人間の業などを描く落語は、主に江戸時代から明治時代までの庶民が主人公になっています。
馬鹿馬鹿しくて笑える滑稽噺や、人情話があり、古典落語は300席あるといわれています。
また、自分で噺を作って高座にかける落語家さんも多く、新作の場合は時代背景も登場人物も特にしばりなどはありません。
古典と新作、どちらもかける落語家さんもいますし、古典しかやらない、逆に新作しかかけないと決めている落語家さんもいます。
また、同じ話でも、落語家さんによって、それぞれ違う噺であるような魅力があります。
人によって特化しているので、噺だけじゃなく人で選んで聞くことも落語の楽しみでしょう。
話の最後には「サゲ」もしくは「オチ」といわれる気の利いた結末でおわります。「落語」という名前も、もともと「落とし噺」を呼ばれていたからと言われています。
また、物語を話す前に、お客さんにむかって雑談のように、世間話や本題に関連する小噺をすることを「マクラ」といいます。
マクラは、お客さんが自然と噺に入ってこれる役割を果たすとともに、落語家さんは今日の客層の雰囲気に合わせた噺を探ります。
江戸落語と上方落語
意外と知られていないのが、落語には「江戸落語」と「上方落語」があるということ。
ぱっと聞いた時、まず大きな違いとして言葉が違います。江戸落語は、江戸っ子が使うような江戸言葉、上方落語は大阪弁などの上方言葉です。
それだけではなく、同じ落語といえど、実は生まれ方もスタイルも異なるものなのです。
江戸落語は、今日のように、小屋や座敷といった屋内で生まれ育ってきましたが、上方落語は元々、屋外で道ゆく人の足を止めて上演されてきました。その為、さっぱりとした江戸落語とはかわり、派手で大きな音を出したり笑いをたくさん盛り込んだりと華やかなスタイルとなっています。
噺の最中に鳴り物が鳴ったり、BGMのように効果的にお囃子が流れる「はめもの」が特に特徴的です。
また、座布団だけに座る江戸落語と違い、「見台」という、講談師の釈台のような小さな台を目の前に置く場合があります。見台を使う時は、「張扇」や「こ拍子」をつかって、見台を叩きながらしゃべります。
さいごに
広く知られた落語でも、まだまだ知られていないこと、掘れば掘るほど深く面白いところがたくさんあります。
江戸落語と上方落語の違い、話芸である落語にとっての「話す」「しゃべる」「語る」の違い、多様な落語家さんごとの個性、100年以上愛されている古典落語について・・・
話芸、演芸がこれからも愛されていく為のヒントが、落語には多くあると思います。
ハマればハマるほど深く、抜けられない世界です!